|
評価:
マイケル・ムアコック
東京創元社
¥ 672
(2007-06)
|
ホークムーン、第2シリーズ「ブラス城年代記」の第2巻。
次元を超えた戦いから戻ってきたホークムーン。
彼が戻ってきた世界は、これまで彼が生きていた世界とは、微妙に異なる世界だった。
暗黒帝国との戦いで命を落としたはずのブラス伯が生きており、イッセルダが死んでいた。
そして妻の死を受け入れられないホークムーンは、戦いより5年間、狂気と妄想に囚われていたのだ…
しかし、彼の中には、おぼろげではあるが、妻の、そして今は存在すらしていないふたりの子どもの記憶を持ちつづけている…
…とまぁ、狂気の淵からの生還と、妻イッセルダの奪還が主な目的。
前シリーズ<ルーンの杖秘録>とは違い、<永遠の戦士>としてのホークムーンがより前面に押し出されている。
そして、タイトルにあるとおり、ギャラソームの戦士こと、イリアンが登場する。
そう、<永遠の戦士>のもうひとつの姿だ。
そして、ホークムーンを導くのに<介添人>ジャリー・ア・コーネルに、カティンカ・ファン・ベック(!)が登場する。
あとがきや解説にもあるとおり、<永遠の戦士>の最後の物語(になるはずだった)。
そのせいか、他の<戦士>との結びつきについてほのめかす個所がやたらと目に付く。
死んだブラス伯が戻ってくる流れは、ワリと納得できるんだけどさ(SFやファンタジーとしてはね)、イッセルダの存在がちょっとなぁ。
ホークムーンがいる世界の歴史としては、イッセルダは死んだことになっている(なんらかのトリックが使われていなければ)。
それが平然と… あぁ、これ以上はねぇ。
なんにせよ、ラストへ向けて一気に加速!していきます(僕が)。
ページ数も少ないからね。
ハヤカワに負けないで、それぞれ1冊にまとめてくれるといいんだけどなぁ。