ヒーローのくせに奇襲攻撃とか
なんの前触れもなく、鉄十字団の秘密基地で暴れまくるスパイダーマンから始まる最終回。
前回まではフツーのお話だったのに、このギャップが凄いよな、昔の特撮って。
既に倒れているニンダーに容赦なく蹴りを入れるスパイダーマン。
「止むを得ん、撤退する」
アマゾネスが撤退の命令を下し、秘密基地は壊滅。
しかし、その秘密基地とて数多くあるものの中のひとつ。
あと何度命がけの戦いをすればよいのだろうか
大丈夫、今日で終わるから。
…と言ってあげたくなるな。
傷を負い帰宅する拓也。
「ほっといてくれよ」
気遣う新子を厳しい口調で拒絶する拓也。
秘密基地に舞い戻ったアマゾネスは、モンスター教授に報告。
「第七秘密基地に続き、第十三秘密基地もスパイダーマンに… 大損害です」
「だらしがないぞ、アマゾネス」
これに続くモンスター教授のセリフが好き。
「一度のみならず二度まで、スパイダーマンに名を成さしめるとは」
しかしアマゾネスが危惧しているのはそれだけではない。
「スパイがいるに違いありません」
秘密基地の所在がもれているのではないか、という意見にモンスター教授も同意する。
「鮮やか過ぎる、スパイダーマンの奇襲がな!」
この最終回に限ってか、やたらとこういう言い回しが気になる。「○○だ、○○のな!」みたいなヤツ。
ベラとリタは秘密基地のリストを奪い返すべきだと主張するが、アマゾネスは躊躇いがちだ。
「しかし、どうやってインターポールから。極めて危険です」
ベラがモンスター教授に作戦を耳打ちする。
ごにょごにょ…
その作戦とは、ベラとリタがインターポールの換気口を利用して毒ガスを流し込み、アマゾネスがそこに潜入しリストを奪い返す…というもの。
「どうじゃ、グッドアイデアであろうが」
グッドアイデアという言い回し自体は不自然じゃないんだが、どーもモンスター教授が言うとひっかかるんだよなぁ。
そして作戦の実行…
ジープに乗りインターポール(以前にも出てきたという日本支部?)に向かうアマゾネス。
ここ、日本だよね?
部下がアマゾネスを気遣って声をかける。
「どうしてアマゾネス様だけが危険な任務を?」
部下に慕われてるのか… マシンベムには冷たかったのに。
「ベラとリタはいつも安全な場所にいます」
「それは、ベラとリタには荷が重いからだ」
「そうでしょうか」
「私は鉄十字団の指揮官だ、クドクド言うな!」
なんというか、最終回になって初めて部下にも人間性があるエピソードが。
しかし物語の焦点は、アマゾネスの心に芽生え始めた思いへ。
ナレーション:部下に言われるまでもなく、最近のモンスター教授とベラとリタの密着振りは気にかかっていた。
アマゾネスはくすぶる不満を必死に隠そうとしていた。
インターポールの建物に潜入したアマゾネスらの前にスパイダーマンが現れた!
毒ガスでやられているはずのインターポール職員(?)もガスマスクをして銃を構えている。
ジャジャーン!
「一体これは!?」
「知らせてくれた奴がいたのさ、ご丁寧にね」
戦闘開始!
とにかく壁を蹴りジャンプしまくるだけのスパイダーマン。
とりあえずアマゾネスを退けたものの、スパイダーマンはこの一連の「密告事件」の裏に何かがあると感じている。
怒り心頭に達したアマゾネスは、密告者がベラとリタに違いないと考え、基地で二人を探す。
しかし密告者はベラとリタではなかった。
うい〜ん、と機械に乗って登場するモンスター教授。
車の座席を改造したような、遊園地の乗り物以下の機械だが…
すかさず座席の数を確認するアマゾネス。
三人乗り?
モンスター教授はこれまでの密告について、自身の命令であると告白する。
「理由は二つある。その一つは、お前にチャンスを与えたかった、スパイダーマンを倒すチャンスをな」
「そのために秘密基地を犠牲に?」
「秘密基地はどうでもよいのだ! それが理由の二つ目」
必死で守ってきた秘密基地を「どうでもいい」と言われては、アマゾネスでなくともショックだろう。
「アマゾンの奥地に、鉄十字団帝国を建設することになった」
「存じませんでした、そんな計画があろうとは」
笑うモンスター教授。
鉄十字団帝国って、語呂が良くないような。
「団」と「帝国」って…
「この二人の発案だ」
さらにアマゾネスは質問を続ける。
「あのロケットは?」
え!? ロケットだったの??
「一度宇宙へ飛び出し、宇宙から世界の主要都市に向かって水爆ミサイルを撃ち込む。これは壮観だぞアマゾネス」
水爆ミサイルって…なんだか(当時の)小学生が言いそうな話だな。
この計画を邪魔するであろうスパイダーマン討伐をアマゾネスに命じるモンスター教授。
「彼奴を倒すまで戻ってくるなよ。いいな、戻ってくるなよ!」
彼奴って…
明らかに三人乗りの座席であることに嫉妬の炎を燃やすアマゾネス。
「このまま引き下がるアマゾネスではない。ロケットに乗るのは私とモンスター教授の二人だ。そう、二人だけだ」
すっかり捨てられた女のノリのアマゾネスだ。
スケートに行こうと言うひとみの誘いを「イヤだからイヤだ」と断る拓也。
「へそ曲がり!」
「行こうよ兄ちゃん」と拓次。
新子も
「あたしも気分転換には最高だと思うんだけどなぁ」
と。
もしかして怪我をして帰ってきたり、機嫌が良くないのを気遣って、気分転換に外出しようと誘ってるってことかな?
「富士山見ながら滑ってごらんなさい、そりゃあもう…」
ひとみの言葉を遮って
「五月蝿いなぁ、俺は行きたくないんだよ」
と言う拓也。
「馬に蹴られて死んじゃえ」
さすがに腹を立てたひとみは捨てゼリフを残して立ち去ろうとしたとき…
えっ!?
なに、怖い。
ノブじゃなくて、ニンダーのくちばし!
ひとみはあっという間に連れ去られてしまう。
「なにをするんだ」と立ち上がった拓也の前に、アマゾネスが現れる。
「スパイダーマンに用があって来た」
珍しく必死で抵抗する拓也。
しかし結局倒されてしまうところを見ると、取り乱しているふうを装っていても、実はヘタレを装っているのだろうな。
「そこまでか山城拓也。スパイダーマンに伝えろ。ひとみが欲しければ、鬼が岬へ来い」
欲しければって…
ここでCMか。
こんな調子で終わるのか、ちょっと心配になってくるな。詰め込みすぎじゃね?
そして鬼が岬。
木に縛られているひとみ。
周囲には誰もいない。
スパイダーマンが「アマゾネスは?」とひとみに声をかけると…
縛られていたひとみはアマゾネスの変装…変身したものだった!
「この世の名残に見せてあげたのよ、私の得意な七変化をね」
あとは入り乱れての戦闘シーン。
あっさりとひとみを救い出し、ニンダーを次々に蹴散らしていくスパイダーマン。
突然、体が動かなくなるスパイダーマン。
「恋人を助けて一安心といったところだな、スパイダーマン…いや、山城拓也」
「俺は山城拓也なんかじゃない」
あくまで否定するスパイダーマンに、その体の痺れが証拠だと言うアマゾネス。
「アマゾンの毒草から取った毒液を塗っておいたのさ、このムチにね」
「ついに暴いたぞスパイダーマンの正体を。ついでに地獄に送ってやる」
感極まって震えるアマゾネス。
動けなくなったスパイダーマンは、アマゾネスの攻撃を受け海に転落。
アマゾネスは勝利を確信して引き上げる。
…のだが、どう考えても甘い!
当然スパイダーマンは生きている(でないと話が続かないしな)。
「ここでくたばってたまるか。死ねない、父の仇、ガリアの復讐を果たすまでは!」
最後に彼の心を支えるのは、やはり復讐だったか。
なんだか知らないけど、あっさり復活。
そしてスパイダーマンは落ちている腕輪に気づく。
「アマゾネスの腕輪だ。この音は基地からのコールサインかもしれない」
なに、この急展開!?
スパイダーマンはその腕輪が受信しているサインを頼りに、秘密基地捜索を開始する。
「新幹線の車庫の裏だったのか」
秘密基地ではアマゾネスがスパイダーマンを倒したと報告。
「ロケットに私を」
「よかろう」
そういうもん?
ベラとリタはどうするんだ?
ところが…
「たわけ! 彼奴は生きておるではないか!」
モンスター教授はベラとリタに出発準備を命じる。
「私も一緒に」
アマゾネスはモンスター教授にすがりつくが拒絶されてしまう。
確かに右腕の腕輪がなくなっている!
そしてモンスター教授の命令を受けたベラの矢、リタのマシンガンを受け、アマゾネスは重傷を負う。
瀕死のアマゾネスは最後の力を振り絞ってロケットに乗り込み、発射してしまう。
ドクロマーク…
モンスター教授とベラ、リタは秘密基地を脱出。
「裏切り者め、宇宙の塵となれ」
モンスター教授の言葉通り、アマゾネスを乗せたロケットは大爆発する。
これで鉄十字団の内紛は終わり、か。
そのモンスター教授の前に、ついにスパイダーマンが現れる。
「鉄十字キラー、スパイダーマン!」
ラストの名乗りは、シンプルに。
「貴様のために、ワシは宇宙ショーを見損ねたぞ、許せん!」
見損ねたのは部下のコントロールを誤ったモンスター教授自身の責任だろ?
「モンスター教授、父の仇、ガリア復讐を果たしに来た、覚悟しろ」
平地での戦いでは、得意のアクションが不発な気がするが…
スパイダーマンが足を掴み、引き倒すと丘を転がり落ち絶命するリタ。
スパイダーストリングスで投げられて絶命するベラ。
一度は倒されたもののえん魔大王の液体で復活したベラとリタがったが、あまりにあっさりと倒されるので拍子抜けしたぞ。第39話の大力士ファイター以上のあっさりさだ。
ついにモンスター教授との一騎打ち。
モンスター教授の動きが少ないのを、カット割りで誤魔化してるようにも見えるが、昔の特撮の常套手段だよな、こういうのは。
杖を奪われたモンスター教授の一言が最高!
「しゃらくせえことをめぇ(後半が聞き取れなかった「しゃらくせえ小僧め」にも聞こえるが?)」
でもって、まさかの巨大化!
「ビッグ・モンスター!」
「鉄十字団は不滅だーー!!」
立ってる場所はどこだよ、と。
「マーベラー!!」
なんだかいつもより力が入ってるんじゃないか?
マーベラーのカノンにひるむも、久しぶりの目から光線で反撃を試みるモンスター教授。
いや、もう結末は見えてるんだ。
いくらラスボスでも特別扱いしないんだな、スパイダーマンという番組は。
もう一度、モンスター教授が叫ぶ。
「鉄十字団は不滅だーー!!」
あぁ…
「ソードビッカー!」
ピカピカ光る剣を見るのも、これで最後か…
ソードビッカー
容赦なく、一撃で爆発するモンスター教授。
一転、陽が沈む海を眺めるスパイダーマン。
ナレーション:辛くて長い、孤独な戦いは終わった
ゆっくりをチャックを開け、その顔を露にする拓也。
「父さん、ガリア… 鉄十字団を倒したよ。モンスター教授は滅びたんだ」
「たんだ」
「たんだ」
「たんだ」
エコーが切ないぜ。
やたらと巨大な「おわり」の文字。
終わったよ、本当に…
最終回だからって特にいつもと変わりがない時間構成だった。
大人の事情でいつもどおりソードビッカー一発というのは寂しいが、逆に「らしい」終わり方と言われれば、そうかもしれない。
スパイダーマンの実力というよりは、内紛が原因ってのは、後々のスーパー戦隊シリーズを予感させる終わり方かもしれないな。
しかし、結局インターポール日本支部とは何だったのか。
間宮重三は何をしているのだろうか…
突っ込みどころの多いドラマだったけど、中途半端に濃密な前半のドラマパート、次第にキレを増していくアクション、脈絡もなく巨大化するマシンベムにやたらと強いレオパルドン…
まさかここからスーパー戦隊シリーズに繋がっていくとはねぇ。
なんだかんだと楽しい全41話でした。
出来れば劇場版も配信してくれないかなぁ。
(追記:2009/12/25)
…と思ってたら、劇場版の配信がキタ!
Episode 0 ってタイトルだったけど、IEのキャッシュ見たら42になってるという大雑把さがいいね。
(修正:2010/06/03)
引用タグの位置修正とか、文章の訂正など。